2007年8月5日日曜日

試行錯誤

 何事も近道というのはなかなか見つからないもので、結局はいろいろと試していく中で、最適解を探していくほかないと思う。
 そんな大きな試行錯誤の一例がEUという連合国家だと思う。
 ヨーロッパの中で加盟していないほうを探すのが最近難しくなってきている気がしてしまうほど、この国家の枠組みを超えた新しい価値観を構築しようとしている。
 私が最初、EUについて勉強したときはまだECと呼ばれている時代だった。そこから数年経った今ではEUとして通貨の統一、関税の廃止、国家間の行き来も自由になっている。一応パスポートはいるけれども、EU圏内と圏外では並ぶラインも違うし、一人にかける時間もまったく違う。
 共通通貨であるユーロも最近ではドルに並ぶ通貨にまで発展してきている。ほとんど第2基軸通貨だといってもいいぐらいの勢いを私は感じている。
 最初に、このEUに加盟するには諸条件がいる。ひとつは国のバランスシート。中でも赤字の幅が規定されている事などを含めて項目があるみたいである。それらの諸要件をみたして初めて加盟することができる。
 では加盟するメリットは何にあるのかというと、雇用の流動化が促進されるということだろう。これは先に加盟している先進国のほうが利に働くが、ほかにも、新たに加盟した国の雇用条件が低ければさまざまな企業誘致が可能になること。ほかに、共通通貨の信頼性などもあるかもしれない。
 EUは活動できる経済圏を拡大することによって、ひとつの国だけでは限界がある諸要件を多様性を持たせることによって発展につなげようという試行錯誤のひとつだと思う。
 それに対し、アメリカはまだ大国である。アメリカの強みは常に移民を受け入れ、人口分布を若く保っているほか、それらの消費拡大によって成り立っているといえるかもしれない。常に生産し、それを輸出や消費を重ねることによる経済圏の維持。また、基軸通貨というのもひとつの強みであると思う。
 さまざまな決済の際に使われるのが基軸通貨の役割であるので、基軸通貨を得るにはアメリカから借金するか、ものを買うか、何かしらの取引をしなければいけないということである。
 最近ではこの傾向は徐々に変質してきてはいる。
 ひとつはユーロの登場による。そしてアメリカの巨大赤字による基軸通貨への不信感、あるいは一国集中を危機と感じているひとや宗教的な対立から、アメリカの政治的な弾圧によって拒否感をもっているなどさまざまな理由がそこには存在している。
 多様化が進めば、それだけの選択肢も存在するし、それだけのメリット・デメリットも増加することになる。しかし、これだけ金融が進んだ現在において何が正解か見えなくなってきているというのも現状存在するのではないかなと思う。そんな唯一の正解を求めるのではなくて試行錯誤をしつつも、解を求めながら進んでいくのが求められている時代のような気がする。
 知恵を絞って新しい方法を考えるのはいつの時代も求められるとおもうが、それがめまぐるしく早く求められるそんな時代かもしれない。

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